はじめに：コウモリが棲みついたら速やかに駆除する必要がある理由は？

コウモリといえば夜に街灯の明かりなどに吸い寄せられるようにして飛び回る姿が見られ、どちらかというと少し気味の悪いイメージがあるかもしれません。

一口にコウモリといっても世界中には約970種が生息し、性質もサイズも実にさまざまなタイプが存在しています。

日本にいるコウモリは35種とされていますが、一般的な住宅街など人間の生活空間に出現するコウモリはほぼ「アブラコウモリ」という種類に限られます。

アブラコウモリは体長約5㎝と小柄ですが翼を広げた長さは18～24㎝程になり、成獣の体毛は灰色がかった茶色です。

コウモリが害獣とされるのは、住宅の屋根裏やビルの隙間などに群れをなして棲みつくことがあり、排泄物が溜まると建物の構造にダメージを与えたり、エサを求めて夜に飛び回る時の鳴き声が騒音の害となったりすることがあるためです。

またノミやダニ、さまざまな病原菌を媒介することが分かっており、乾燥した糞はカビ菌を含んでいるため誤って吸い込むと病気の原因になるなど、人間生活にリスクをもたらすことも知られています。

したがってコウモリが住宅やビルなど人の生活圏内に棲みついた場合には、できるだけ早く駆除する必要があります。

ですがコウモリは通称「鳥獣保護管理法」で守られた野生動物であることから、無許可で捕獲したり殺傷したりすると懲役や罰金といった処罰を受けることに注意が必要です。

そこでコウモリの駆除には「追い払う」ことと「再侵入させない」ことがポイントとなり、傷つけたり殺したりせずに対処する方法の一つに「光」を用いることが挙げられます。

本記事ではコウモリ駆除に「光」を使う方法について、実際の効果やその仕組みなどについて解説します。

※以下、本記事ではアブラコウモリを単に「コウモリ」と表記します。

コウモリ駆除に光を用いる効果の信憑性は？

「コウモリは夜行性のため視力が弱く、そのため強い光に弱い」といわれることがあり、このことをコウモリ駆除に光が有効である根拠とするケースがありますが実際のところはどうなのでしょう。

結論からいうと確かに夜行性のコウモリは視力がほぼありませんが、日本の住宅街によく出没するアブラコウモリに関しては光への耐性があるとされています。

したがってコウモリに対しては「光が苦手なので駆除に使える」というわけではありません。

また一方ではコウモリが「光に寄せられる性質がある」といわれることもあります。

しかしこれも事実とは異なり、視力が弱いことから光を感知してそちらに向かっていくわけではなく、空間認識はあくまでも自ら発する超音波の反響を利用したものです。

コウモリが光に吸い寄せられるかのように飛んでいると感じるのは、光に集まる昆虫を捕食するために他なりません。

虫には光に反応する「走光性」という習性があり、街灯などに集まるのは光の方へ向かっていく「正の走光性」を持った昆虫類です。

ライトの周囲に無数の虫がまとわりつくようにして飛んでいるのはこの習性によるもので、これがコウモリにとって恰好の餌場になることから「コウモリは光に寄せられる」という誤解が生じたものと考えられます。

したがって光でコウモリを追い払ったり誘導したりといった方法の効果は、信憑性が低いといえるでしょう。

コウモリ駆除に光を使う例のポイントと効果のほどは？

ではコウモリの駆除に光はまったく役に立たないのでしょうか。

これまで見てきた流れでは直接的な効果を期待することは難しいものの、場合によっては間接的に駆除効果を発揮するケースもあります。

以下に一般的にコウモリ駆除の効果があるとされる例を3つ挙げ、それぞれの現実的な活用法について見ていきましょう。

強い光

前述したように強い光はコウモリを驚かせる効果はあるものの一時的で、特に光に耐性のあるアブラコウモリはじきに慣れてしまいます。

強力な光源のライトなどが効果を発揮するとすれば応急的な対応時が考えられ、例えばコウモリが群れではなく少数で出現した際に、これで追い払うよう試みることなどが想定されます。

もし住宅の屋根裏などに群れをなしている場合にはすべてを追い出した上で侵入口を塞ぐなどの処置が必要なため、いたずらに光で刺激するのは得策ではありません。

また日中の睡眠時や冬眠期間も反応が鈍いため、強力な光源を当てたとしても十分な駆除にはつながりにくいでしょう。

CDなどの反射光

CDを軒下などに吊り下げると、その反射光がコウモリ駆除に役立つといわれることもありますが、これも信憑性は高くありません。

アブラコウモリは光への耐性があることからCDの反射程度の光源では追い払えず、そもそも活発に行動するのは夕方以降から夜にかけてであり、暗い時間帯に反射光が発生することも考えにくいでしょう。

カラスなど他の鳥類を近付けさせない効果と混同されたものと考えられています。

LEDライトの光

「コウモリはLEDライトの光を嫌う」という説明を目にすることがありますが、これも正確な情報ではありません。

先述した昆虫の走光性に関わることですが、虫が光に向かっていくのは紫外線を感知してのことで、蛍光灯からも微量に放出されているためこれを用いた照明に集まってくるのです。

一方LEDライトからは紫外線が出ないため、虫は寄ってきません。

したがってコウモリがLEDライトに近付かないとされるのはその光源が苦手なのではなく、エサとなる昆虫がいないためあえてそこを目指す必然性がないことを意味しています。

ただしこの特性を利用して街灯や公園の照明などをLEDライトにすることで昆虫を集めないようにし、人間の生活圏におけるコウモリの餌場を少なくして結果的に駆除へつなげるのは有効な方法の一つです。

光をコウモリ駆除に活用するのに適した季節とは？

光、特に虫を寄せないLEDの光源でコウモリの餌場をなくして駆除につなげる方法を示しましたが、実施には最適な時期があります。

コウモリが活発の行動する時期は一年のうち2回あり、最初は4月～6月の春から初夏にかけて、次は9月～10月の秋にかけてです。

この時期のコウモリは冬眠から目覚めて子育てのシーズンを迎えること、そして冬眠に向けて栄養を蓄えるため日没頃からエサを求めて活発に飛び回ります。

そのため駆除の施策によって住処から追い出しやすくなり、自力で飛べない幼獣が取り残されて死骸が病原菌などの温床になる心配も少なくなる時期といえます。

LEDライトをコウモリ駆除に用いる方法は住処に設置するのではなく、餌場となる周辺全域で実施する必要があるため大がかりな取り組みが必要です。

ですが上記のコウモリが活発化するシーズンに間に合うよう光源を交換するなど、ある程度段階的に実施していくことも可能でしょう。

コウモリが冬眠する習性を持っているのは寒さから身を守るためでもありますが、単純にエサとなる虫が少ない時期を省エネモードで乗り切るためです。

虫が飛び回るようになる暖かな時期を迎える前の冬場に、周辺の照明をLEDに交換することでコウモリの餌場が減少すると新たな餌場を求めて移動していく可能性も高まります。

エサとなる虫を寄せない光を使うことでコウモリをそこに留まらせないという間接的な方法の特性を理解し、最適な時期にゆとりをもって作業をすすめることがポイントです。

コウモリ駆除に関連して注意すべき法律とは？

コウモリが法律で保護された動物であり、無許可での捕獲・殺傷を禁じた法が一般に「鳥獣保護管理法」と呼ばれることを先に述べました。

この法律は正式には「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」といい、違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられます。

「捕獲」も該当する禁止行為であるため、仮に親から離れて住処の外に落ちてしまったコウモリの幼獣を善意から一時保護した場合でも、処罰の対象になり得ます。

また、例えばコウモリを追い払おうと強い光源のライトを当て、驚いて飛び立ったコウモリが衝突して死んだり傷ついたりすることも考えられるため、個人レベルで駆除を実施するにはハードルが高く感じる面もあるでしょう。

このようにコウモリは法律で守られていることから、コウモリの駆除には十分な法的理解と注意、そして専門的な技術が求められます。

まとめ：光を活用したコウモリ駆除も専門業者に依頼するのがおすすめ！

コウモリの駆除に「光」が有効であるという説について、光にまつわる生き物の習性を踏まえつつ実際の効果について解説しました。

コウモリはノミ・ダニ・病原菌を媒介したり糞害や騒音をもたらしたりする害獣であるため、仮に住宅など人間の生活圏に棲みついているのを発見した場合にはできるだけ早く駆除することがポイントです。

その一方では鳥獣保護管理法で守られており、個人で駆除を試みて殺傷してしまった場合でも罪に問われるなど、少なからぬリスクが伴います。

そこでおすすめなのが、コウモリ駆除の専門業者に依頼することです。

プロフェッショナルとしての高度な知識と技術を用いて駆除後の処置まで安全に実行し、専門家の見地から防除のための適切なアドバイスも得られます。

もしコウモリの害で悩むことがあれば、このような専門業者への相談も視野に入れてみてはいかがでしょうか。