はじめに:コウモリは害獣! 家に棲みついた場合には駆除することが必要
コウモリは鳥類ではなく、自力で飛行できる唯一の哺乳類であることが知られています。
世界には約960種ともいわれる非常に多くのコウモリが存在し、日本では34種が確認されていますが都市部や住宅地などで見られるのはほぼ「アブラコウモリ」という小型の種類です。
アブラコウモリの成獣は灰色がかった茶色い体毛をしており、体長は約5㎝、翼長は18~24cm程度で体重も5~10gほどと非常に小柄なことが特徴です。
なお、コウモリは吸血動物のイメージもありますがアブラコウモリは昆虫類を主食としています。
よく見るとかわいらしい姿をしているともいえ、害虫である蚊などを大量に捕食するため益獣の一種とされる場合もありますが、人間にとってはさまざまな害を及ぼす動物です。
コウモリの体にはノミ・ダニといった病原菌を媒介する寄生生物がおり、不用意に触れることは厳に避けるべきとされています。
また、コウモリは住宅の屋根裏などに群棲することがあり、大量の糞尿が溜まると建物の構造に変色や腐食といったダメージを与えます。さらには群れが行動する際のキィキィという鳴き声や羽音は騒音害となり、連日続くことで精神的に消耗するケースもあるなど人間生活を脅かすものです。
したがって、万が一コウモリが家屋の屋根裏や軒下、やビルの隙間などに棲みついているのを発見した場合、できるだけ早期に駆除することが求められます。
しかしコウモリは通称「鳥獣保護管理法」という法律で保護された野生動物でもあり、許可なく殺傷したり捕獲したりすると懲役あるいは罰金といった処罰の対象となる点に十分な注意が必要です。
そのためコウモリを駆除するためにはさまざまな非殺傷性の方法を駆使し、再び営巣させないことが基本的な施策となります。
本記事ではコウモリ駆除とはどのような段階を踏んで行うのか、専門業者の具体的な作業手順の例について解説します。
※以下、本記事ではアブラコウモリを単に「コウモリ」と表記します。
コウモリを駆除するための具体的な手順とは?
コウモリは法で保護されているため、許可なく殺傷したり捕まえたりすると処罰の対象になることを先に述べました。
害獣という位置付けであれば人間生活を守るためにも柔軟な駆除対応が求められそうですが、日本の法律では駆除に許可が必要なく殺傷・捕獲が禁止されていないのはネズミのみです。
そのためコウモリの駆除は非殺傷性に配慮し、巣から「追い出す」ことと「戻ってこさせない」ことが最も重要な基礎対応となります。
以下、専門業者によるコウモリ駆除の手順について具体的な例を見ていきましょう。
なお、特別に各都道府県の許可を受けた業者や個人はコウモリの捕獲が可能ですが、本記事では基本的に殺傷・捕獲を前提としない方法について述べていきます。
調査・見積もり
まずは家屋・ビルなど建物の内部と外部から、徹底的な調査を行います。
主にコウモリの出入口となっている隙間や穴を確認し、侵入経路を把握することを狙いとしています。
仮にコウモリを追い出すことに成功していくつかの侵入口を封鎖したとしても、別の出入口があれば再び戻ってきてしまう可能性があるためです。
この際に駆除費用の見積りを行うことも一般的で、中には無料見積もりに対応してくれる業者もあるため数社の相見積もりを取るのも有効な方法です。
作業計画立案
調査と見積もりが完了したら、業者が作業計画を立案します。
作業計画書として依頼主に提示し、費用の内訳も明示されることが多いでしょう。
施工箇所と工期が記されていれば、駆除作業が数日にわたる場合に居住者が立ち入らないようにする区域などが明確となり、業者側も作業がよりスムーズに進みます。
追い出し
法で保護された動物であるコウモリは住処から放逐することが駆除の基本となるため、適切なシーズンと時間帯を見定めて追い出しの処置を行います。
追い出しにはコウモリの苦手な臭い成分を含んだ薬剤などが用いられ、スプレータイプのものも取り回しのよさから重宝されています。
ただし持続性は一時的ながらスプレーも強力な効果をもっているため、直接コウモリに向けて噴霧すると殺傷してしまう可能性がある点に注意が必要です。
清掃・洗浄
コウモリを巣から追い出した後は、清掃と洗浄を行う必要があります。
それというのもコウモリは一か所に集中して排泄する傾向が強く、糞尿が溜まっているケースが多いためです。
糞はパサパサとしてホコリになって舞いやすく、しかもカビ菌の一種を含んでいることから吸い込むと非常に危険です。
そのため作業員も防護服やゴーグル、マスクなどの完全防備を行って清掃と洗浄にあたります。
また溜まったコウモリの排泄物は建物の構造に腐食や変色などのダメージを与えることもあり、清掃と洗浄の過程で新たに損傷が発見される場合もあります。
忌避措置
コウモリを巣から追い出して清掃と洗浄が完了したら、再び戻ってこないように忌避措置を講じます。
コウモリは巣への執着が強い動物で、一旦放逐したとしても何度も同じ場所に帰ってこようとするためです。
そのためには忌避剤などの薬剤を散布する方法もありますが、超音波発生装置を設けてコウモリの帰還を妨げることも行われます。
コウモリはほとんど視力がありませんが自ら超音波を発し、その反射で空間を認識して自由に飛び回ることができます。超音波発生装置はそこに異なる音源を介入させて撹乱することでコウモリの行動を制限し、近寄らせないようにする仕組みの機械です。
ただしコウモリはしばらくするとその撹乱を補正して行動できるため、自動的に周波数を変調させて容易にコウモリを近付けさせない機能を搭載した機種が用いられています。
侵入口封鎖
コウモリを巣に戻さないための施策でもう一点重要なことに、侵入口の封鎖が挙げられます。
小柄なため1~2㎝ほどの隙間さえあれば出入りできるコウモリは、追い出した後も物理的に元の住処へ戻れないようすべての侵入口を塞ぐことがポイントです。
屋根や壁の隙間をシーリングしたり、通排気口に目の細かいメッシュを設置したりするなど、方法は多岐にわたります。
またエアコン室外機につながる配管の隙間を通って屋内に侵入する例もあり、家中のあらゆる箇所への注意が必要です。
効果点検
すべてのコウモリ駆除作業が完了した後、一週間程度の間をおいて本当にコウモリが戻ってきていないか、完全に追い出すことに成功したか効果を点検します。
仮にまだコウモリの存在が確認されるようであれば放逐が十分でなかったか、あるいは侵入経路の封鎖に取りこぼしがあった可能性があるため追加の処置を行います。
業者によっては二年程度のアフターケア期間を設けている場合もあるため、継続的なメンテナンスを依頼することも可能です。
コウモリ駆除に最適なシーズンおよび時間帯はある?
以上が基本的なコウモリ駆除の手順例ですが、作業には最適な時期・時間帯とそうでないタイミングとがあります。
コウモリは冬場には冬眠し、夏頃に出産して子育てを行います。当然冬眠中には活動量が極端に減るため追い出しにくく、育児中は自力で飛ぶことのできない幼獣がいることから群れのすべてを放逐することは困難となります。
したがって冬眠から覚めた4月~6月の春から初夏にかけての時期と、子どもが自立して冬眠に入る前の9月~10月の秋にかけてのシーズンが駆除に適しているといえるでしょう。
この時期には特に活発に捕食行動を起こすため、忌避剤などの刺激で巣から追い出しやすくなります。
ただしこのシーズンでもコウモリが行動するのは日没頃から夜明け前の夜間となるため、眠っている日中に追い出そうとしても十分な効果は得られません。
夕方以降にコウモリが行動を開始するタイミングに合わせて放逐処置を行うことで、より確実に巣からの追い出し作業を進めることが可能となります。
まとめ:コウモリ駆除はアフターケアも万全な専門業者に依頼するのがおすすめ!
コウモリの駆除はどのようにして行うのか、専門業者の具体的な手順を例にして解説しました。
コウモリは病原菌のキャリアであったり糞害や騒音害の元となったりする害獣であるため、もし住宅に棲みついているのを発見した場合はできるだけ早く駆除したいものです。
しかしながら鳥獣保護管理法で守られていることから駆除には慎重を期さねばならないこと、ホコリとなって舞う糞を吸い込んだり素手でコウモリに触れたりしないよう防護する必要があることなどから、個人での駆除はハードルが高い面もあります。
そうした場合におすすめなのは、やはりコウモリ駆除の専門業者に依頼することです。
プロフェッショナルとしての高度な知識と技術を用いて駆除後の処置まで安全に実行し、専門家の見地から防除のための適切なアドバイスも得られます。
もしコウモリの害で悩むことがあれば、まずは専門業者に相談して調査や見積もりを頼んでみてはいかがでしょうか。