はじめに:人家や建物に棲みつくコウモリは、駆除が必要な害獣!
夜の闇にひらひらと舞うコウモリは、どちらかというと少し不気味で不吉なイメージのある動物ではないでしょうか。
自力で飛行はするものの鳥類ではなく、哺乳類であることも非常に特徴的です。
日本で都市部や住宅地など人間の生活空間に棲息しているコウモリは、そのほとんどが「アブラコウモリ」という小型の種類です。
体長はおよそ5㎝、翼長18~24㎝程度で体重は5~10gほど、成獣は灰色がかった茶色い体毛で蚊やユスリカなどの昆虫を主食としています。
コウモリは人間にとっての害虫を大量に捕食するため、かつては益獣の一種と考えられていたこともあります。
しかしコウモリにはノミやダニが寄生しており、これらはさまざまな病原菌を媒介する危険な生物です。また、群れをつくることから大量の排泄物が巣に溜まり、異臭ばかりではなく建物の構造物にダメージを与えて腐食や変色の原因ともなります。
さらには日没頃以降にエサを求めて飛び回り、その際の鳴き声や羽音が騒音の害となって精神的なダメージになるケースがあるなど、コウモリは人間生活にとって害獣と位置付けられる野生動物なのです。
したがって、コウモリが人家やビルなど人間の生活圏内に棲息しているのを発見したときには、可能な限り速やかに駆除することが必要です。
その一方でコウモリは野生動物保護を目的とした法律で守られており、許可を得ずに捕獲したり殺傷したりした場合には罪に問われます。
そのため駆除には細心の注意と非殺傷性を基本とした特殊な対応が求められますが、住宅の造りや立地によってはコウモリが特に営巣しやすいパターンが見受けられます。
本記事ではコウモリに好かれやすい家の特徴を挙げ、巣が作られる原因とその状況について解説します。
※以下、本記事ではアブラコウモリを単に「コウモリ」と表記します。
コウモリに好かれやすい家の特徴4選
コウモリは日中を眠って過ごし、夕方以降に食餌のためなどに飛び回る夜行性の動物です。
巣に関しては例えばツバメのような構造物を作るわけではなく、ねぐらとなる場所を選んで群れをなす習性があります。
そんなコウモリが営巣しやすい場所には一定のパターンがあり、その条件を満たした住居はコウモリに好かれやすい家であるといえるでしょう。
ちなみに家の築年数は関係ないとされ、新築であってもコウモリが棲みつくケースが報告されています。
以下、コウモリに好かれやすい家の代表的な特徴を4つ見ていきましょう。
暖かく、雨風を避けられる場所がある
コウモリは基本的に気温の高い時期に活動する動物です。
近年では北海道での棲息も確認され、温暖であれば冬期でも冬眠せずに活動する例が報告されていますが、暖かくて雨風を避けることのできる空間は営巣に適しています。
そのため家屋の屋根裏やエアコン室外機の裏、あるいは雨戸の戸袋等々、コウモリが群れで安らげるような場所がある家は、住処として利用されやすいといえるでしょう。
暗くてぶら下がれる場所がある
コウモリ特有の習性の一つに、ぶら下がるようにして休む体勢をとることが挙げられます。
冬眠時や日中の睡眠時はこの状態となるため、暗くてぶら下がることのできる場所を好んで営巣します。
家屋の屋根裏には梁やその他の構造物があり、日中でも光が届きにくい暗さを持っていることからこの条件に適合します。
侵入口がたくさんある
ここでいうコウモリは非常に小柄で、わずかな隙間があればそこを通って出入りができますが、そうした侵入口がたくさんある場所も住処に向いています。
出入口が一か所だけだとその分危険も多く、いくつもの経路を確保することが生存性を高めることにつながるためです。
通排気口や壁・軒の裂け目、あるいは屋根の隙間はおろか、エアコン室外機の配管の間まで出入口として利用してしまいます。
このようにコウモリの侵入口となり得る隙間がたくさんある家は、住処として好かれやすい傾向があります。
近くに水場や街灯がある
家屋そのものの造りではなく立地条件に関する問題ですが、近くに水場や街灯がある家はコウモリの住処になりやすいとされています。
これはコウモリが主食とする昆虫類が集まりやすいことを意味しており、水場や街灯の光の周りは恰好の食餌場所です。
こうした立地にある家は至近距離に餌場があることから、コウモリにとってはとても優良な物件であるといえるでしょう。
もっとも水場に虫が発生しにくいようにしたり、街灯の光源を虫が集まりにくいLEDライトに交換したりするなどの施策で対応が可能です。
古民家や日本家屋は特にコウモリが営巣しやすい構造
上記のことから、コウモリが住処として好むのは暗さと暖かさ、侵入経路と近くに食餌場所が確保できる安全な空間であるといえます。
このような条件を満たす建築の代表格に、古民家や伝統的な日本家屋が挙げられます。
特に瓦葺きの日本家屋は屋根や軒、あるいは壁に隙間ができやすくコウモリが侵入しやすい構造をしています。
また屋根裏は頻繁に人間が出入りする場所ではなく、古民家では通気のための穴が直通していることも多いためコウモリにとっては恰好の営巣場所です。
また日本庭園に池が備えられているケースでは虫が集まりやすく、コウモリにとっては食餌場所もセットになっているようなものといえます。
このようなことから、古民家・日本家屋はことのほかコウモリに好かれる傾向があるため然るべき対策を施すことが重要です。
コウモリに好かれやすい家で駆除を行うのに最適な季節と時間帯は?
コウモリに好かれやすい、つまり営巣に適した家の傾向を見てきましたが、コウモリ駆除には一定の原則と手順があります。
端的にいうと基本的に殺傷・捕獲をせず、住処から追い出して再び戻ってこないよう処置することです。
こうしたコウモリ駆除を効果的に行うためには、適切な時期と時間帯があります。
一年のうち駆除に適したシーズンは二回あり、最初は4月~6月の春から初夏にかけてです。この時期にはコウモリが冬眠から目覚めて活動を開始し、その後出産して子育てに入ります。
次は9月~10月の秋にかけてで、コウモリの幼獣が自力で飛び回れるようになって成獣は発情期を迎え、やがて冬眠へと至るために捕食行動が活発になる時期です。
コウモリを住処からすべて追い出すためにはこのように行動が活発化するシーズンを見計らうことがセオリーであり、それ以外の期間では幼獣が取り残されたり、反応が鈍かったりといった問題があります。
また、駆除に適した時期であっても日中に追い出しを試みるのは効果的ではありません。
コウモリは明るいうちは眠って過ごしており、忌避剤や光などを用い刺激に十分な反応を示すとは限らないためです。
時間帯としては、日没頃以降のコウモリが食餌のために飛び回るようになるタイミングで駆除を行いましょう。
コウモリを駆除する場合に要注意な法律とは?
コウモリの駆除が非殺傷性の方法を中心としている理由は、野生動物を保護する法律の定めによるものであることを先に述べました。
この法律は通称を「鳥獣保護管理法」といい、正式な法律名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」です。
コウモリを無許可で殺傷・捕獲するなどして鳥獣保護管理法に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という処罰の対象となります。
したがって仮に駆除作業中の過失だとしても、コウモリを殺傷してしまったり意図せずに捕獲する形になったりすると法に抵触するため、個人で駆除を試みる場合には一定のリスクが伴います。
このようなことからコウモリ駆除には身体の危険だけではなく法的な問題もあり、専門家以外が駆除することのハードルを高めています。
まとめ:コウモリに好かれやすい家での駆除は専門業者に依頼するのがおすすめ!
コウモリが棲みつきやすい家の特徴と、駆除が必要な理由について解説しました。
コウモリに好かれやすい家は構造的な特徴があり、また食餌場所となる虫の発生地や集中地に近いという立地条件も重なっています。
特に日本家屋や古民家といったコウモリにとっての侵入口が豊富な構造の建物が営巣地として好まれますが、たとえ新築であっても棲みつくケースがある点には注意が必要です。
ノミ・ダニといった寄生生物や病原菌のキャリアとなるコウモリは発見次第できるだけ迅速な駆除が望まれますが、適切な時期と時間帯、そして法的知識を伴う専門的な技術を伴った作業が求められます。
そこでおすすめなのが、コウモリ駆除の専門業者に依頼することです。
プロフェッショナルとしての高度な知識と技術を用いて駆除後の処置まで安全に実行し、専門家の見地から防除のための適切なアドバイスも得られます。
もしコウモリの害で悩むことがあれば、このような専門業者への相談も視野に入れてみてはいかがでしょうか。