はじめに:コウモリ駆除の必要性とは?
コウモリと聞くと皆さんはどのようなイメージが浮かぶでしょうか。
どちらかというと少し不気味というか、やや不吉な印象が勝るかもしれません。
コウモリは害虫を捕食することから益獣の一種とされることもありますが、ノミ・ダニ・病原菌のキャリアとなることや家屋の屋根裏などに棲みついて糞害・騒音をもたらすことから害獣として扱われるのが一般的です。
したがって、もし自宅にコウモリが棲みついてしまったら駆除することが必要となります。
本記事ではコウモリ駆除に適したシーズンとその根拠、推奨されない時期がある理由などについて解説します。
コウモリ駆除はどのシーズンでもできる?
コウモリ駆除と一口に言っても、いつでもすぐに取り掛かれるわけではありません。
それというのもコウモリ特有の生態や年間を通じてのライフサイクルから、駆除に適したシーズンがあるためです。
まず、住宅地などで人間に害を及ぼすコウモリは小型の「アブラコウモリ(イエコウモリ)」にほぼ限られます。
アブラコウモリは体長5㎝ほど、翼長18~24㎝程度で成獣は灰色がかった茶色の体毛をしています。
湿度40%以上・気温25℃以上の暗い場所を好み、山間部よりも都市部に多く生息してビルや家屋の軒下・天井裏、あるいは高架下などに群れをなして暮らすのが特徴です。
夜行性で昼間は眠っており、夕方以降になると飛び回って虫などを捕食し、羽音や鳴き声が騒音の害となります。
寿命は1~5年ほどとされており、年間を通じて活発な時期とそうでない期間とがあります。
そのため駆除はどのシーズンでもよいわけではなく、ライフサイクルを把握して最大の効果を発揮する時期に実施することが重要です。
※以下、本記事ではアブラコウモリを単に「コウモリ」と表記します。
コウモリ駆除におすすめの時期とその理由は?
先に述べたように、コウモリ駆除には年間を通じて最適な時期があります。
厳密な意味において駆除自体は一年を通じて不可能ではありませんが、原則として「追い払う」「侵入させない」といった施策に限られる点に注意が必要で、効果的に実施するためにもコウモリの特性やライフサイクルに合わせて行うことがおすすめです。
以下、コウモリ駆除に適した時期とその理由を見ていきましょう。
4月~6月(春~初夏)
コウモリという生き物は冬眠する性質があり、春に目覚めると行動が活発になっていきます。
そのため4月~6月の春から初夏にかけては、一年のうちで最も駆除に適している時期です。
後でも詳しく述べますが夏になるとコウモリは繁殖(出産)時期に入るため追い払いにくくなり、しかも群れの個体数が増えていくためそれまでの間に駆除することが効率的です。
冬眠から覚めること、繁殖時期が近付くことはすなわち栄養を蓄えるための捕食行動がより活性化することを意味しています。
つまり夕方以降の行動時間帯には住処である建物などから飛び立ち、活発に飛び回るため巣から追い出しやすく、再び戻ってこられないような防護措置も施しやすくなります。
9月~10月(秋)
次にコウモリ駆除に適した時期は9月~10月の秋頃です。
夏に生まれたコウモリの子どもは約1か月で飛び回れるようになること、そしておおむね11月の半ば頃には冬眠に入ることからやはりこの時期にも行動が活発になります。
加えてコウモリの特殊な生態も影響しています。
コウモリが出産するのは夏であることを前述しましたが、交尾は冬眠前に行われます。コウモリのメスは交尾後すぐに妊娠するわけではなく、冬眠を挟んでエサの昆虫などが豊富になる夏に出産できるよう体内で精子を保存することが可能です。
そして4月末頃に受精し、約70日間の妊娠期間を経て出産します。
コウモリはこのような独特のライフサイクルを持つことから冬眠前の秋には年に一度だけの発情期を迎え、繁殖のための行動も活性化するため駆除に適した時期になるといえるでしょう。
夏と冬がコウモリ駆除に向かない理由は?
コウモリ駆除に適した季節が春~初夏と秋の2シーズンであることを述べましたが、一方では夏と冬は駆除に向いていないということがいえます。
それには先にも少し触れたように、コウモリ駆除の原則である「追い払う」ことと「侵入させない」ことを実現させる施策が関係しています。
次に夏と冬、それぞれの時期がなぜコウモリ駆除に向いていないかという理由を詳しく見ていきましょう。
夏の場合
コウモリは7月頃が出産期で、通常は2匹~4匹程度の子どもを産みます。
幼獣は1か月ほど経つと自力で飛び回れるようになりますがそれまでは住処から動くことができず、屋外へ出て活動するのは成獣のみとなりコウモリにとっては子育ての期間です。
コウモリの駆除ではすべての個体を住処としている家屋の屋根裏や建物の隙間などから追い払う必要があり、自力で飛ぶことができない幼獣がいるとその目的を妨げることになるため夏は時期として適していません。
また、仮にこの期間に成獣のコウモリだけを駆除した場合、残された幼獣は育つことができず死んでしまいます。
そうするとまとまった個体数の死骸が住処に溜まり、病原菌の温床になったりネズミなど他の害獣のエサになったりといった問題を招きかねません。
このようなことから、自力で退去することのできないコウモリの子どもがいる夏場は、駆除には向いていない時期です。
冬の場合
コウモリは11月の半ば頃から春まで冬眠することを先に述べましたが、これは活動量が極端に減ることを意味しています。
コウモリが冬眠をするのは食料となる昆虫などが冬場に少なくなるためで、呼吸は1分間に1回程度、心拍数は通常活動時の約10分の1、体温は外気温と同程度にまで低下するといいます。
このような休眠状態となり、いわば省エネモードで厳しい冬を乗り越えるための生存戦略といえるでしょう。
そのため春や秋のように夕方以降にエサを求めて飛び回ることもなく、静かにじっとしているため屋外へと追い出すことも困難です。
仮に放逐するためコウモリが嫌がる忌避剤を用いたとしても、冬眠中にはほとんど効果がないことも珍しくありません。
コウモリにとって重要なライフサイクルであり、このような生態的な特性から冬場は駆除に適していない時期であるといえます。
ただし昨今では温暖化などの影響から冬眠をしないケースも見受けられるため、地域や環境の違いといった個別のケースに対して柔軟な対応が求められます。
コウモリ駆除に適した時間帯は?
コウモリ駆除を行うのに向いているシーズンについて解説しましたが、そのなかでも作業に適した時間帯があります。
夜行性のコウモリは夕方以降にエサを求めて飛び回り、それまでは住処で眠って過ごしていることが一般的です。
したがって、日没頃以降の行動が活発化する時間帯が駆除に適しているといえるでしょう。
コウモリの駆除は追い払うことと再び侵入させないことが基本であると繰り返し述べているように、行動時間帯に合わせて実施することでより効率よく作業を進めることが可能となります。
ただし高所であることが多く、日没以降の暗がりでは十分な注意と安全確保が必要です。さらに春と秋では暗くなる時間帯も異なるため、季節の変化にも留意しましょう。
コウモリ駆除で注意すべき法律は?
コウモリ駆除の原則が追い払うことと侵入させないことであると述べましたが、それにはコウモリが法律で保護された動物であり、許可なく捕獲・殺傷することが禁じられているためです。
この法律は一般に「鳥獣保護法」とも呼ばれていますが現在は「鳥獣保護管理法」といい、正式名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」です。
この法律に反した場合は1年以下の懲役あるいは100万円以下の罰金といった処罰の対象となるため、コウモリの個人による駆除をさらに難しくしています。
例えばコウモリの子どもが道端に落ちているのを保護しようとして無断で捕獲することや、自宅に棲みついたコウモリの駆除を試み誤って殺傷してしまった場合にも法に抵触します。
そのため、十分な知識と許可なくコウモリ駆除を行うのはリスクを伴うことを把握しておきましょう。
まとめ:コウモリ駆除は専門業者への依頼がおすすめ!
コウモリの駆除には春と秋がおすすめの時期であること、その理由や作業の際に注意すべき法律などについて解説しました。
病原菌のキャリアになったり騒音の元になったりするコウモリは、万が一自宅の屋根裏などに棲みついてしまったら少しでも迅速に追い払いたいものですが、駆除には最適なシーズンがあります。
一方では法律で保護された動物であることや駆除に適した時間帯は夕方以降の暗がりであることなどから、個人による駆除作業のハードルを上げているといえるでしょう。
そこでおすすめなのが、コウモリ駆除の専門業者に依頼することです。
プロフェッショナルとしての高度な知識と技術を用いて駆除後の処置まで安全に実行し、専門家の見地から防除のための適切なアドバイスも得られます。
もしコウモリの害で悩むことがあれば、このような専門業者への相談も視野に入れてみてはいかがでしょうか。