コウモリは駆除が必要な害獣!そもそも家に近付けさせない忌避の工夫を解説!

はじめに:害獣のコウモリは人家にも群れで棲みつく! 駆除が必要なその理由とは?
動物や昆虫の中には人間生活にとってメリットをもたらしてくれる「益獣・益中」と、その反対に不利益となる「害獣・害虫」と呼ばれるものがいます。
いずれもあくまでも人間視点でのことであり、例えば農作物を荒らしたり家屋にダメージを与えたり、そうした動物・昆虫の天敵となって結果的に人間生活の益となったりする存在の呼び分けです。
そんな生きものたちのうち、人間の生活圏内にも棲息する野生動物の一種にコウモリがいます。
名前も存在もよく知られ、住宅地や都市部にも棲みついているため身近な動物ではありますが、コウモリは益獣である面もありつつ位置付けとしては害獣の一種です。
日本の住宅地、あるいは都市部などで見られるコウモリのほとんどは「アブラコウモリ」という種類で、大きな分類では「ココモウリ」のグループに属する非常に小柄なタイプです。
アブラコウモリは成長すると灰色がかった茶色い体毛となり、体長は約5㎝、翼を広げると長さは約18~24㎝、体重は5~10gほどになります。
翼をたたむと本体の小ささゆえとてもコンパクトで、わずか1~2㎝の隙間さえあれば屋内に侵入してくることが報告されています。
アブラコウモリは蚊やユスリカといった人間にとっては害虫となる昆虫類を主食としており、一頭につき一晩で500匹ともいわれる大量の虫を捕食するといいます。そのため、コウモリは益獣の一種であるという考え方もあったようです。
しかし実際には、コウモリにはノミ・ダニといった種々のウイルスを媒介する生物が寄生していること、生命に関わる重篤な症状を引き起こしかねないさまざまな病原菌を保有していることなどから、人間にとっては高い接触リスクを持つ害獣の一種です。
さらには人家の屋根裏などに群れをつくって棲みつくことで、大量の糞尿が堆積します。これは悪臭害の元となるだけではなく、建物の構造物を腐食させたりシミなどの原因となったりして損傷を与えます。そればかりか、カビ菌の一種を含んだ糞は乾燥すると粉塵になりやすく、誤って吸い込んだり粘膜に触れたりすると疾病の原因ともなるためたいへん危険です。
また群れが大きくなるとコウモリが出す鳴き声や羽音も騒音の害となり、夜行性であることから不眠症を引き起こすケースもあるなど、健康上のリスクも懸念されます。
このような理由から、もしコウモリが家屋などに巣をつくって棲みついている場合には駆除が必要です。しかし作業の実施には最適な時期・時間を見計らって適切な方法で法に則った処置を必要とし、専門的な知見と技術を要します。
本記事では駆除が必要な害獣であるコウモリに対して、そもそも棲みつかれないようにするためにはどうすればよいのか、家庭でもできる工夫について解説します。
※以下、本記事ではアブラコウモリを単に「コウモリ」と表記します。
コウモリを寄せ付けないための5つの工夫
コウモリの駆除はまずもって「追い出す」ことと、「戻ってこさせない」ことが基本となります。
しかし新築の戸建などの場合、あらかじめコウモリを寄せ付けないようにする防御策を講じておくことで後々のリスクを軽減することも可能です。
以下、コウモリが容易に棲みつけないようにする工夫を5つ挙げてみました。
軒下にテグスを張る
コウモリが営巣するのは屋根裏だけではなく、軒下というパターンもよく見られます。
それというのも、コウモリは逆さまにぶら下がって休む習性があり、垂木など掴まりやすい構造物がある軒下はうってつけの場所であるためです。
そこでコウモリが軒下に近付くことができないよう、極細の釣り糸であるテグスを張ってみましょう。
方法としては軒下の端から端まで数本のテグスを張り巡らせ、コウモリの接近を許さない柵のように仕立てることが挙げられます。
コウモリにはほぼ視力がなく、自ら発した超音波の反射で空間を認識しています。その感覚は小さな昆虫も正確に捕捉するほど鋭敏であるため、テグスの存在も感知して近付くことができなくなるという仕組みです。
エアコン室外機の配管スペースを埋める
先に述べたように、アブラコウモリは非常に小柄であることからわずかな隙間さえあれば屋内に侵入して営巣することが可能です。
そのためエアコン室外機と室内をつなぐ配管の隙間を侵入経路とする実例が報告されています。
もし設置された室外機の配管にそうしたスペースがある場合、あらかじめ外側と内側からしっかりと塞いでおきましょう。万が一のコウモリの侵入を防止することが可能です。
屋根周りの通風口にネットを張る
住宅の構造にもよりますが、屋根周りに通風用の開口部が設けられているケースがあります。
コウモリたちにとって屋根裏などに侵入するための恰好の経路となるため、あらかじめここを塞いでおくことも有効な方法です。
とはいえ通風を目的としている構造であることから完全に封鎖することはできず、そのため目の細かいネットで通気を確保しつつコウモリの侵入を阻むのが得策でしょう。
繰り返しになりますがわずかな隙間からでも出入りする能力があるコウモリのため、絶対に入れない細かさのネットを選ぶことがポイントです。
ハッカ油スプレーを噴霧する
コウモリは嗅覚がとても発達した動物で、そのため苦手な匂いの元があると敏感に反応します。
そんなコウモリの苦手な匂いの一つに「ハッカ」が挙げられ、駆除の際に巣から追い出すのにこれが用いられることがあります。
ハッカ油はスプレータイプのものも市販されており、個人でも比較的安全に用いることが可能です。
本格的な駆除の際には専用の装備で病原菌などから身を守りながら営巣場所に入って作業する必要がありますが、予防的処置としては軒下やベランダの天井、雨戸の戸袋近辺やエアコン室外機の裏等々、コウモリが好みそうな場所に定期的に噴霧しておくのもよいでしょう。
住居の照明をLED光源にする
コウモリをあらかじめ住宅に近付けさせないようにするためには、住まいの光源をすべてLEDにしておくのも有効です。
一見なんの関係もないように感じるかもしれませんが、コウモリが捕食する昆虫類は蛍光灯などの照明が発する紫外線に集まる「走光性」という習性を持っています。
そのため部屋の蛍光灯に群がった虫をめがけて、開け放った窓からコウモリが侵入してきたという例もあります。
LEDの照明はこのような紫外線を発しないため、コウモリの餌となる虫が寄ってきません。したがってコウモリの食餌場所となる可能性を低減させることが可能で、理想をいえば近辺の街灯類も同様にLEDとすることができればなお効果を発揮するでしょう。
コウモリよけの予防処置においても注意しなくてはならない法律とは?
駆除が必要な害獣であるコウモリについて、あらかじめ営巣を許さないよう家屋などに近付けさせないための工夫について述べてきました。
しかしそうした施策の中でも、十分に気を付けなくてはならないことがあり、そのうちの一つに「法律」の問題が挙げられます。
これは本格的な駆除においても同様ですが、コウモリは無許可で捕獲したり殺傷したりすると処罰の対象となってしまうのです。
この根拠となる法律は一般的に「鳥獣保護管理法」と呼ばれており、正式な名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」といいます。
コウモリもこの法律によって守られた野生動物の一種であり、鳥獣保護管理法に違反した場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
コウモリ駆除の原則が「巣から追い出す」ことと「巣に戻って来させない」ことであるのはそのためで、駆除といっても群れのすべてを殺傷するような施策ではありません。
したがってあらかじめコウモリを近付けさせないための防護的措置であったとしても、それが原因でコウモリを殺傷してしまったり捕獲してしまったりすると法律違反となる点に注意しましょう。
まとめ:コウモリを近付けさせないための処置や駆除は専門業者への相談がおすすめ!
コウモリをあらかじめ家屋などに近付けさせないために、個人でもできる工夫について解説しました。
コウモリが営巣しにくいように予防することでその害を未然に防げる可能性は高まるものの、なかなか最初からそのための処置を行うのはハードルが高い面も否定できません。
そのため本格的な処置に取り掛かるのはコウモリが営巣していることに気付いてからというケースが多く、その段階では個人による放逐や駆除が難しくなっている場合も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、予防処置を含めてコウモリ駆除の専門業者に相談することです。
プロフェッショナルとしての高度な知識と技術を用いて駆除後の処置まで安全に実行し、専門家の見地から防除のための適切なアドバイスも得られます。
もしコウモリの害が心配で実際にその懸念があれば、このような専門業者への相談も視野に入れてみてはいかがでしょうか。